2025.07.10
不動産売買に潜む「囲い込み」とは?
 
                    
不動産売買の世界には「囲い込み」という言葉があります。
聞き慣れないかもしれませんが、実は売主にとって大きな損失を招く可能性のある、業界特有の慣習のひとつです。
この記事では、囲い込みの仕組みと起こる背景、売主にとってのデメリット、そして対策について分かりやすく解説します。
囲い込みとは?
囲い込みとは、不動産会社が売主から預かった物件を「自社だけで売ろう」として、他社へ紹介しない行為のことです。
通常であれば、物件はREINS(不動産流通標準情報システム)を通じて広く公開され、多くの購入希望者の目に触れるはずです。
しかし、囲い込みが行われると、情報が一部に制限され、本来の市場価値を失ってしまう危険があります。

なぜ囲い込みが起きるのか?
背景にあるのは「両手仲介」という報酬体系です。
- 両手仲介 … 売主と買主の両方から仲介手数料を受け取る取引
- 片手仲介 … どちらか一方からのみ仲介手数料を受け取る取引
売主だけでなく買主も自社で見つけられれば、手数料収入は2倍になります。
そのため、一部の業者は「他社からの案内希望を断り、自社だけで買主を探そう」とするのです。
売主にとってのデメリット
囲い込みは、最終的に売主の不利益につながります。
- 売却価格が下がる可能性
 購入希望者の母数が減り、競争が働かなくなるため値下げを迫られることも。
- 売却までの時間が長引く
 自社の買主が現れるまで待たされ、スムーズに進まなくなります。
- 正当な市場評価を得られない
 オープンな市場での取引機会を逃し、資産価値を正しく評価してもらえない恐れがあります。
業界全体の対策と、残る課題
国土交通省や業界団体も、この問題に対して対策を進めています。
2025年の法改正では、レインズ上でのステータス更新や売主への説明義務が強化され、売主が販売状況を確認しやすい仕組みが導入されました。
- レインズ登録の義務化
 専任媒介・専属専任媒介契約では、契約後一定期間内にレインズへの登録が義務付けられています。
- 反響拒否の禁止
 他社からの問い合わせを意図的に断ることは禁止され、宅建業法に基づき監督処分の対象になります。
しかし実際には「売却済みです」「調整中です」と言いながら他社を断るケースも依然として存在します。
つまり、制度面では改善が進んでいるものの、見えない囲い込みはゼロにはなっていないのが実態です。
売主ができる対策
売主が自分の資産を守るためにできることは次の通りです。
- 媒介契約の種類(専属専任・専任・一般)を理解する
- 業者からの販売活動報告を受け取る
- レインズ登録状況を自分で確認する
- 囲い込みのリスクを説明してくれる誠実な不動産会社を選ぶ
おわりに
「囲い込み」という言葉は専門的に聞こえますが、実際には売主の大切な資産を左右する問題です。
法改正や制度の整備は進んでいるものの、現場とのギャップはまだ一部残っています。
だからこそ、正しい知識を持ち、透明性を重視するパートナーを選ぶことが重要です。
HEIBEI不動産では、レインズ登録の徹底や活動報告の透明化を通じて、囲い込みのない誠実な取引をお約束しています。
 
             
                 
                         
                         
                 
                 
                