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2025.09.01

市街化調整区域での不動産売買 ― 再建築可否とローン付けの関係

#不動産売却#不動産購入#コラム
市街化調整区域での不動産売買 ― 再建築可否とローン付けの関係

市街化調整区域とは?

市街化調整区域は、都市計画法に基づき「市街化を抑制すべき区域」として指定されたエリアです。
都市の無秩序な拡大を防ぎ、農地や自然環境を守る目的があり、原則として新しい建物の建築は制限されています。


不動産売買はできるのか?

市街化調整区域にある土地や建物も、売買そのものは可能です。
ただし、購入後に自由に建て替えができるかどうか、いわゆる「再建築の可否」が最大のポイントです。
そしてこの可否は、住宅ローンや不動産担保融資の可否=資産価値に直結します。


再建築可否とローン付けの実際

再建築可能な場合

  • 既存宅地要件を満たしている(都市計画法34条13号)
  • 既存集落内で建築が認められる場合(34条11号、通称「50戸連たん」
  • 都市計画法43条許可を得られる場合

これらに該当すれば金融機関の評価も比較的前向きで、住宅ローンが通る可能性があります。
ただし市街化区域内に比べると審査は厳しく、自己資金比率を求められることもあります。

再建築不可の場合

  • 建物を取り壊すと再建築できない土地
  • 老朽化や滅失後も建築が認められないケース

この場合、金融機関は担保価値をほとんど認めず、住宅ローンの利用はほぼ不可能です。
現金購入者や一部のノンバンク融資が対象となるため、市場での流通性は大きく低下します。


売却・購入の注意点

購入検討者向け

  • 再建築可否を必ず役所や専門家に確認する
  • 融資の可否は金融機関ごとに異なるため、事前に複数行へ打診する
  • 再建築不可の場合は「資産価値」よりも「現況利用」を前提に判断する

売却希望者向け

  • 再建築可否によって市場価格は大きく変動する
  • 再建築不可物件は、現金購入層や買取業者が主なターゲットになる
  • 市街化区域の宅地と比べると、価格は大幅に低く見積もられる傾向がある


法改正への注意点

2025年4月の建築基準法改正により、これまで「4号特例」により審査が簡略化されていた小規模な木造住宅も、原則として建築確認での構造審査・省エネ審査が必要になります。

対象となるのは以下の物件です。

  • 木造2階建て以下かつ延べ面積500㎡以下の住宅
  • 木造平屋でも延べ面積200㎡を超える場合

一方で、木造平屋かつ延べ面積200㎡以下の建物は「新3号建築物」とされ、従来通りの簡易な扱いが維持されます。

またこの改正により、再建築不可物件で特に問題となるのが 大規模なリフォーム(大規模の修繕・模様替え) です。

制限される可能性のあるリフォーム例

  • 屋根の全面葺き替えや構造材の大規模交換
  • 耐震補強を伴う柱・梁の入れ替え
  • 外壁の大規模改修や断熱材の全面更新
  • 既存建物の用途変更に伴う大規模な間取り変更

これらの工事は「建築確認申請」が必要となり、再建築不可物件では許可が得られない、あるいはコストが大幅に増加する可能性があります。

つまり、再建築不可物件では「建て替えできない上に、大規模リフォームも難しくなる」ケースが出てくるため、資産価値はさらに下落するリスクがあります。


まとめ

市街化調整区域の不動産売買では

「再建築の可否」=「融資の可否」=「資産価値」

という構図が成り立ちます。
同じエリア・同じ面積でも、再建築の可否によって価値が数百万円単位で変わることは珍しくありません。

売買を検討する際には、建築制限や法的要件だけでなく、金融機関の融資姿勢や将来の法改正の影響も含めて確認することが成功の鍵です。

HEIBEI不動産では、調整区域物件の再建築可否調査やローン付け相談も承っております。
ぜひお気軽にお問い合わせください。