2025.10.28
あま市・大治町・蟹江町・津島市・愛西市の市街化調整区域|旧既存宅地・線引き前宅地の再建築・売却ガイド
 
                    目次
市街化調整区域とは

「市街化調整区域」とは、都市計画法により新たな開発を抑制するために指定された区域です。
無秩序な市街化を防ぎ、道路や上下水道などの整備負担を抑えることを目的としています。
愛知県では、あま市・大治町・蟹江町・津島市・愛西市など、広く存在します。
この区域では、原則として新築・増築・建て替えはできませんが、一定の条件を満たした場合に限り、例外的に建築が許可される仕組みがあります。
市街化調整区域での再建築には「43条許可」が必要

市街化調整区域で建物を建てる場合は、都市計画法第43条に基づく許可が必要です。
この許可は、「都市計画の趣旨に反しない」と判断された場合に限り認められます。
判断基準は、都市計画法第34条(第1号〜第14号)に準じて運用されます。
住宅建築に関係するのは、主に第11号(既存集落内の住宅)と第14号(開発審査会経由の特例)です。
愛知県では、第14号を具体化した「開発審査会基準」が中心的に運用されています。
都市計画法第34条(第1号〜第14号)の概要
参考:
都市計画法 第34条
| 号 | 内容(わかりやすい要約) | 
|---|---|
| 第1号 | 公益上必要な施設(学校、消防署、病院、水道施設など)。公共福祉に資する建築。 | 
| 第2号 | 鉱物資源や観光資源を有効に活用するために必要な施設(採石場、観光施設など)。 | 
| 第3号 | 気候・地形など、特別な自然条件を必要とする施設(気象観測所、研究施設など)。 | 
| 第4号 | 農業・林業・漁業などの生産・加工・貯蔵に必要な施設(農産物加工場、農業用倉庫など)。 | 
| 第5号 | 特定農山村地域の活性化や、地域産業の振興に資する施設(地域拠点施設など)。 | 
| 第6号 | 中小企業の共同化・集団化を目的とする施設(共同作業所、流通センターなど)。 | 
| 第7号 | 既存工場などの関連施設として、事業の効率化に必要な建築(製造関連倉庫など)。 | 
| 第8号 | 危険物の貯蔵・処理施設など、市街化区域に設けることが適当でない建築(火薬庫など)。 | 
| 第9号 | 道路交通の安全や円滑を確保するために必要な施設(道路管理施設、給油所、休憩所など)。 | 
| 第10号 | 地区計画または集落地区計画の区域内で、計画内容に適合する建築(地区計画に沿った住宅など)。 | 
| 第11号 | 既成集落として一定数の建物が連続する区域で、条例で定める地域内の住宅など。 | 
| 第12号 | 周辺の市街化を促進するおそれがなく、市街化区域内で行うのが不適当な施設(条例基準による限定的開発)。 | 
| 第13号 | 線引き前から土地を所有していた者が、自己居住や自己業務のために建築する場合 | 
| 第14号 | 上記に該当しないが、開発審査会が特に必要と認めた建築(例:既存宅地、公益性のある施設など)。 | 
愛知県「開発審査会基準」とは
都市計画法第34条第14号を根拠に、県ごとに独自の審査基準が設けられています。
愛知県では、「開発審査会基準第1号〜第21号」により、具体的な許可要件が細かく定義されています。
そのうち、住宅建築や再建築に最も関係するのが、第17号(既存の宅地における開発行為又は建築行為等)です。
| 号 | 主な内容 | 
|---|---|
| 第1号 | 分家住宅 | 
| 第2号 | ※削除済み(9号へ移管) | 
| 第3号 | 土地収用対象事業により移転するもの | 
| 第4号 | 事業所の社宅及び寄宿舎 | 
| 第5号 | 大学等の学生下宿等 | 
| 第6号 | 社寺仏閣及び納骨堂 | 
| 第7号 | 既存集落内のやむを得ない自己用住宅 | 
| 第8号 | 市街化調整区域にある既存工場のやむを得ない拡張 | 
| 第9号 | 幹線道路の沿道等における流通業務施設 | 
| 第10号 | 有料老人ホーム | 
| 第11号 | 地域振興のための工場等 | 
| 第12号 | 大規模な既存集落における小規模な工場等 | 
| 第13号 | 介護老人保健施設 | 
| 第14号 | 既存の土地利用を適正に行うための管理施設の設置 | 
| 第15号 | 既存住宅の増築等のためのやむを得ない敷地拡大 | 
| 第16号 | 相当期間適正に利用された住宅等の用途変更 | 
| 第17号 | 既存の宅地における開発行為又は建築行為等 | 
| 第18号 | 社会福祉施設 | 
| 第19号 | 相当期間適正に利用された工場のやむを得ない用途変更 | 
| 第20号 | 1ヘクタール未満の運動・レジャー施設の併設建築物 | 
| 第21号 | 農家レストラン | 
開発審査会基準第17号(既存宅地)の要点

対象となる土地の条件
以下に該当する土地が対象です。
- 都市計画で市街化調整区域に指定された時点で、すでに宅地であったこと
- 現在も宅地、またはこれに準ずる利用(住宅や敷地など)をしていること
- おおむね50戸以上の建築物が連たんする区域の内部、またはその周辺であること
※「宅地」とは、登記上の地目だけでなく、実際に住宅や店舗が建っていた土地を指します。
※「連たん」は、家が隣接して建ち並ぶ状態を意味し、50戸以上がまとまって存在することが目安です。
規模や形状の制限
・敷地面積はおおむね160㎡以上(やむを得ない場合は140㎡以上)
・建物の高さは10メートル以下
・駐車場は敷地内に確保
既存宅地制度の廃止と現在の扱い
かつて存在した「既存宅地制度」は、一定の土地であれば許可なしで建築可能とする仕組みでした。
2001年(平成13年)5月に廃止され、現在はすべて許可制に移行しています。
そのため、不動産広告などに「既存宅地なので建築できます」と書かれていても、正確には「許可が下りれば建築可能」です。
実務上の慣用表現であり、法的保証ではありません。
旧既存宅地と線引き前宅地の違い
- 線引き前宅地
 昭和45年以前から宅地として利用されていた土地。
 利用が継続していて、許可があれば再建築可能。
- 旧既存宅地
 かつて既存宅地制度に基づいて、再建築が認められていた土地。
 既存宅地制度廃止後は、許可が必要。
つまり、線引き前宅地のうち、かつて「既存宅地」として確認を受けた土地が「旧既存宅地」です。
似ていますが、法的な扱いが異なります。
再建築の可否を調べる方法



再建築が可能かどうかは、以下の手順で進めるのが一般的です。
- 登記事項証明書を確認する
 土地の地目が「宅地」となっているか、過去に建物が存在していたかを確認します。
 分筆や合筆の履歴も、ここで確認できます。
- 航空写真で過去の利用状況を確認する
 国土地理院やGoogle Earthなどを使って、過去に建物があったかどうかを目視で確認します。
 
- 固定資産税評価証明書を取得する
 過去に「宅地」として課税されていれば、継続利用の証拠になります。
 特に、建物課税が残っていれば有力な根拠です。
- 建築確認済証・検査済証を確認する
 過去に建築確認が出ていたかどうかを調べることで、法的に建築可能だった経緯を把握します。
- 役所(都市計画課・開発審査課)に相談する
 最終的には行政協議が不可欠です。
 「43条許可の見込み」を確認し、書面で「見込み回答」をもらうと確実です。
過去の利用履歴を正確に確認することが、調整区域では特に重要です。
市街化調整区域の売買時に注意すべき点

調整区域の土地は、再建築可否によって資産価値が大きく変わります。
再建築の可否を、正確に確認することが重要です。
売買契約時には、「許可が下りなければ契約を解除できる」停止条件付契約を設定するのが安全です。
また、既存宅地認定を受けた物件であっても、分筆・地目変更などによって条件が失効している場合があります。
契約前に必ず行政確認を行いましょう。
まとめ
- 市街化調整区域は原則として再建築不可
- 都市計画法第43条許可により例外的に建築可能
- 条件は都市計画法第34条第1〜14号に基づく
- 愛知県では開発審査会基準(第1〜21号)で詳細に運用
- 第17号(既存宅地)の運用基準が実質的な判断要件
- 既存宅地制度は2001年に廃止、現在はすべて許可制
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📍対応エリア
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