2025.08.20
知ってるつもり?社会保険料の仕組みと負担のリアル
 
                    
最近、社会保険料について耳にする機会が増えていませんか?
参議院選挙では「日本維新の会」がメインイシューとして取り上げ、SNSでも話題に上がる機会が増えています。
私自身も会社を経営する中で解像度が高まってきたテーマなので、一度整理してみたいと思います。
「社会保険料」という項目は存在しない?
実は「社会保険料」という名目の請求は存在しません。
社会保険とは、次の2つをまとめた呼び方です。
- 健康保険(医療)
- 厚生年金(年金)
一方、個人事業主の場合は「国民健康保険(医療)」と「国民年金(年金)」をそれぞれ自分で負担することになります。
社会保険料はどう決まるのか?
社会保険料は「標準報酬月額」に基づいて決まります。
そして、会社と従業員が折半で負担する仕組みになっています。

月収30万円の場合の具体例
2025年度(愛知県・健康保険料率10.02%・厚生年金料率18.30%)を前提に計算すると、
月収30万円の社会保険料は以下の通りです。
- 健康保険料:30万円 × 10.03% = 30,090円
- 厚生年金保険料:30万円 × 18.30% = 54,900円
☞ 会社+従業員の合計負担:84,990円/月
☞ 従業員本人の負担額:42,495円/月
☞ 会社側の負担額:42,495円/月
と、なります。
つまり、給与明細では「従業員負担分」のみが控除として表示されますが、実は従業員に見えないところで、会社も同じ額を人件費として負担している、ということです。
月収別の比較(目安)
| 月収 | 健康保険(折半後) | 厚生年金(折半後) | 本人負担合計 | 
|---|---|---|---|
| 20万円 | 約9,900円 | 約18,300円 | 約28,200円 | 
| 30万円 | 約14,850円 | 約27,450円 | 約42,300円 | 
| 40万円 | 約19,800円 | 約36,600円 | 約56,400円 | 
| 50万円 | 約24,750円 | 約45,750円 | 約70,500円 | 
※40歳以上はここに「介護保険料」が加わります。
賞与と社会保険料の関係
もともと賞与は 税金(所得税・住民税) の対象でしたが、社会保険料については長く非課税扱いでした。
その後の制度改正により、
- 1995年(平成7年):厚生年金にも賞与が反映されるように
- 2003年(平成15年):健康保険にも賞与が反映されるように
となり、現在は 給与と同様に賞与にも社会保険料がかかる仕組み になっています。
ここ数十年の変遷は?
社会保険料は、この30年で大きく増加しています。
例えば、厚生年金の保険料率だけを見ても、1980年代はおよそ10.3%程度でしたが、現在は18.3%となっています。
わずか数十年で、率にしてほぼ倍近くに引き上げられてきたことになります。
背景には「少子高齢化」があります。
高齢者人口の増加と現役世代の減少により、制度を維持するために一人ひとりの負担が大きくなってきたのです。
不動産と社会保険の意外な関係
社会保険の知識は、不動産の売買とも無関係ではありません。
住宅ローンの審査では「額面年収(総支給額)」を基準に返済比率を算出します。
しかし、実際に生活に使えるのは「手取り収入」であり、その差を生む大きな要因が社会保険料です。
つまり、ローン審査の数字上は問題がなくても、実際の生活水準は社会保険料によって変わるということです。
社会保険は、ローン審査上は見えにくいけれど、実生活には少なからず影響してきます。
だからこそ、家計や住まいを考えるうえで理解しておくことが重要です。
まとめ
社会保険料は、普段は意識しづらいけれど、私たちの生活に大きく関わっています。
「なんとなく知っているつもり」から一歩踏み込み、仕組みと負担を理解しておくことが大切です。
HEIBEI不動産では、単に物件を紹介するだけでなく、暮らしやお金に関わる背景まで一緒に整理し、安心できる選択をサポートします。
 
             
                 
                         
                         
                 
                 
                