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2025.08.28

農地転用とは?不動産売却で知っておきたい基礎知識と契約の注意点

#不動産売却#不動産購入#コラム
~農地転用とは?~ 不動産売却で知っておきたい 基礎知識と契約の注意点

不動産の売却や活用を考えるときによく耳にするのが「農地転用」
都市近郊や住宅需要が高まる地域では、「農地を宅地や事業用地に変えて利用したい」というニーズが増えています。

しかし、農地は他の土地と違い「農地法」という法律で厳しく守られており、そのまま売却や宅地利用はできません。

本記事では、農地転用の基礎から売買契約に関する注意点までをわかりやすく整理します。

なぜ農地は厳しく制限されているのか?

農地が特別に保護されている理由は大きく3つです。

  • 食料の安定供給を守るため
     農地は国民の食を支える資源です。宅地化が進みすぎれば、食料自給率の低下につながります。
  • 農業の生産基盤を守るため
     農地は田畑だけでなく、水路や農道などのインフラと一体です。安易な転用は地域全体の農業に影響を及ぼします。
  • 無秩序な市街化を防ぐため
     都市計画に沿わない開発は「スプロール現象」を招き、道路・上下水道など公共コストを押し上げます。

このため、農地法では「農業を優先する」という視点で厳しいルールが設けられているのです。



農地転用とは?

農地転用とは「農地を農業以外に使うこと」です。具体的には次のようなケースが当てはまります。

  • 農地を宅地にして住宅を建てる
  • 駐車場や資材置き場として使う
  • 店舗や倉庫などの事業用地にする

このような場合、必ず行政への許可または届出が必要になります。


農地法の区分(3条・4条・5条)

農地の使い方や取引形態によって手続きが異なります。

  • 3条許可:農地を農地のまま売買・賃貸する(例:農業従事者同士の取引)
  • 4条許可/届出:所有者が農地を農地以外に使う(例:畑を駐車場に)
  • 5条許可/届出:転用目的で売買・賃貸する(例:農地を買って住宅を建てる)

特に不動産売買に関わるのは 5条許可。
無許可で農地を転用すると、農地法違反として 「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」 が科される可能性もあります。


許可と届出の違い

  • 市街化区域(開発を進めるエリア):届出で足り、基本的に認められる
  • 市街化調整区域(市街化を抑えるエリア):許可が必要。審査の結果、不許可になることも



農振農用地区域に注意

農振法による区分と転用の可否

農地には「農業振興地域(農振地域)」として、市町村が農業を守るために指定する区域があります。
その中で、土地はさらに次のように区分されます。

1. 農振農用地区域(青地)

  • 農業にとって 特に優良な農地
  • 原則転用不可
  • 転用を希望する場合は「除外申請」が必要
    → 計画変更に数年かかるケースも多い

2. 白地(農振地域外)

  • 農振地域には含まれない農地
  • 条件を満たせば転用可能(農地法の審査対象)
  • 許可の難易度は「第1種〜第3種農地」などの区分によって変わる

売却や活用を検討する際は、まず自分の土地が 青地か白地か を役所や農業委員会で確認することが出発点となります。


転用許可の基準:立地基準と一般基準

農地転用が認められるかどうかは、「どこで使うか(立地基準)」「どう使うか(一般基準)」の両方で判断されます。

立地基準(場所による判断)

区分概要転用の目安
農振農用地区域農業最優先エリア原則不可(除外申請必要)
甲種/第1種農地良好な農地不可〜極めて困難
第2種農地市街地に近い条件次第で許可
第3種農地周辺が市街地許可されやすい
市街化区域内農地都市化を進める区域届出で可


一般基準(使い方による判断)

  • 周辺農業に支障を与えないか(排水・騒音など)
  • 農業インフラ(水路・農道)を壊さないか
  • 計画に無理がないか(資金・規模・他法令との整合)
  • 一時転用の場合、元に戻せるか



手続きの流れ

  1. 役所・農業委員会で現況と区域を確認
  2. 転用計画を作成(用途・規模・事業内容)
  3. 農業委員会に申請
  4. 都道府県知事または農水大臣が許可
  5. 許可後に地目変更登記

一般的に許可の場合は約1〜3ヶ月かかります。
届出の場合は1~2週間ほどです。



売買契約との関係

農地を売買する場合、よく使われるのが停止条件付き契約です。

  • 許可が下りたら契約が有効になる
  • 許可が下りなければ契約は無効となり、手付金は返還される

こうした条項を入れることで、売主・買主双方のリスクを減らせます。


HEIBEI不動産では、愛知・名古屋・あま市周辺での農地転用サポートを行っています。
不動産売却、活用をお考えの方はぜひご相談ください。