2025.09.10
【あま市】住まいを選ぶなら必ず確認したいハザードマップ
はじめに
今回は、あま市で不動産を購入する際に知っておきたい「ハザードマップ」についてご紹介します。
近年、全国的に台風や集中豪雨による浸水被害、地震による液状化や建物倒壊など、自然災害のリスクが高まっています。
特に、あま市を含む西尾張エリアは地形や河川の影響を受けやすく、ハザードマップの確認が住まい選びにおいて非常に重要な地域です。
不動産を検討する際には、価格や立地、建物の条件だけでなく、「その場所にどのような災害リスクが想定されているか」を事前に知っておくことが、安心・安全な暮らしへの第一歩となります。
本記事では、あま市の災害リスクをできるだけわかりやすく整理し、住まい選びの判断材料として役立つ情報をお届けします。
ハザードマップとは
ハザードマップとは、災害時に想定される被害範囲や危険度を地図上に示したもので、国や自治体が作成し公開しています。
主な種類と一般的な内容は以下の通りです。
- 洪水ハザードマップ
☞河川が氾濫した際の浸水範囲や浸水深を示します。
特に河川沿いや低地では被害が大きくなる傾向があります。 - 内水氾濫ハザードマップ
☞都市部で下水道や排水施設の能力を超える豪雨が発生した場合の浸水リスクを示します。
アスファルトで舗装された都市部や低地は要注意です。 - 高潮ハザードマップ
☞台風や低気圧で海面が上昇し、沿岸部や低地が浸水するリスクを示します。
伊勢湾台風の教訓から重要視されています。 - 津波ハザードマップ
☞大規模地震によって発生する津波の浸水範囲や避難経路を示します。
沿岸部はもちろん、内陸部も影響を受ける場合があります。 - 地震(液状化)ハザードマップ
☞大地震時の揺れの強さや液状化の可能性を示します。
特に埋立地や低地では液状化の被害が想定されます。
あま市のリスク
洪水ハザードマップ(新川、日光川、五条川、蟹江川、福田川)
洪水ハザードマップ(木曽川、庄内川)
あま市は、周辺に複数の河川が流れている地域であり、それぞれの河川ごとに洪水ハザードマップが作成されています。
水防法に基づき作成されています。
県管理河川:新川、日光川、五条川、蟹江川、福田川
国管理河川:木曽川、庄内川
→ これらの流域にあたる地域は、広い範囲で浸水リスクがあります。最大で5m以上の浸水が想定される地域もあり、2階部分まで達する可能性があるため注意が必要です。

新川の洪水ハザードマップです。
新川沿いに位置する旧甚目寺町周辺については、広い範囲がハザードエリアに指定されていることが分かります。

日光川の洪水ハザードマップです。
旧七宝町周辺については、広い範囲がハザードエリアに指定されていることが分かります。

五条川の洪水ハザードマップです。
五条川は新川へ合流する河川であることから、新川流域の影響を受けやすいエリアが含まれています。
そのため、旧甚目寺町周辺については、新川のハザードマップと同様に、広い範囲がハザードエリアに指定されていることが分かります。

蟹江川の洪水ハザードマップです。
蟹江川流域にあたる、旧七宝町周辺から旧美和町にかけては、広い範囲が洪水ハザードエリアに指定されていることが分かります。また、あま市役所周辺についても指定されていますね。

福田川の洪水ハザードマップです。
福田川についても蟹江川と同様に、旧七宝町の鷹居・川部・鯰橋周辺を中心としたエリアが、洪水ハザードエリアに指定されていることが分かります。
また、あま市役所周辺や木田駅周辺についても指定されていますね。

木曽川の洪水ハザードマップです。
洪水ハザードマップは、一般的に「1000年に1度(=1年あたり約0.1%)」の確率で発生するとされる大雨を想定して作成されていますが、木曽川は流域面積が非常に広く、国内でも有数の大河川であるため、想定最大規模の洪水となった場合、その影響範囲も非常に大きくなることが分かります。

こちらは庄内川の洪水ハザードマップです。
庄内川が氾濫を起こし、洪水が発生するということは、新川が氾濫を起こすことと同様の状況を想定していると言えます。
そのため、新川の洪水ハザードマップと似た内容になっています。
内水氾濫ハザードマップ(あま市独自)
水防法に基づいたマップは未整備ですが、あま市独自で作成されています。
高架下のアンダーパスなど、周囲より低く冠水しやすい道路の通行には要注意です。





高潮ハザードマップ PDF
伊勢湾台風級の高潮が発生した場合、庄内川や木曽川の下流域を中心に浸水の恐れがあります。
内陸部でも、河川を通じて被害が及ぶ可能性があるため油断はできません。

津波ハザードマップ PDF
あま市は内陸部に位置しているため、津波による直接的な浸水リスクは比較的小さいと考えられます。しかしながら、津島市や中川区に面した、旧七宝町の鷹居・川部・鯰橋周辺のエリアについては、最大で約2.0m程度の浸水が予測されています。
また、庄内川や木曽川を通じて津波が遡上する可能性も否定できず、局所的ではなく、地域全体での広域的な被害に注意が必要です。

地震ハザードマップ PDF(中川区)
南海トラフ地震や濃尾地震級の大地震では、震度6弱〜6強の揺れが予想されています。
また、液状化のリスクが高く、建物の基礎や地盤改良の有無を確認することが重要です。

まとめ
あま市は名古屋市に隣接し、交通アクセスや生活利便性に優れた、非常に暮らしやすいエリアです。
一方で、ハザードマップを確認することで、自分が住む地域にどのような災害リスクが想定されているのかを正しく理解し、事前の備えを考えることができます。
ただし、ハザードマップを過度に重視しすぎると、現実的な住まい選びが成り立たなくなるという側面もあります。
特に愛知県西部や名古屋市周辺のような平野部では、河川洪水・内水氾濫・高潮など、何かしらのハザードに該当するエリアが大半を占めています。
「色が付いていない場所だけ」で住まいを探そうとすると、選択肢は極端に限られてしまいます。
そもそもハザードマップは、「危険予測図」であって「居住不可エリア」を示すものではありません。
ハザードマップは、
・〜1000年に1度とされる想定降雨
・最悪の事態を前提としたシミュレーション
を基に作成されています。
つまり、「ここは住んではいけない場所」という判断材料ではなく、「起こり得るリスクを事前に把握す
るための資料」です。
重要なのは「ハザードがあるか・ないか」ではなく、その「中身」を正しく理解することです。
・どの災害を想定しているのか(洪水・内水・高潮など)
・想定される浸水深はどの程度か
・それに対して、どのような備えが可能か
を把握したうえで、
建物条件や立地、そして火災保険・水災補償などを含めた現実的な対策を検討することが重要です。
リスクを正しく理解し、過度に恐れず、「安全で、安心して納得できる住まい選び」を一緒に実現していきましょう。